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インタビュー

大学理工系部門上位入賞校
足利工業大学留学生相談室

佐々木 節室長

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   横浜デザイン日本語学科 佐久間 みのり

   

足利工業大学は、特に留学生のサポート体制が充実しているとの声が多く寄せられた学校です。首都圏から離れた大学であるという不利な条件を見事に克服して多くの評価を集めたことは、他大学の参考になるのではないでしょうか。

まずは受賞にあたっての感想をお聞かせください。

——突然受賞のお知らせをもらって、たいへん驚きました。半信半疑で授賞式に出席しました。しかし、受賞はこの上ない喜びであり、たいへん名誉なことだと思っています。

大学、特に理系大学においてはJABEEなどの第三者評価が重要になってきているので、昨年の日本留学アワードで違う角度から新たな評価が得られたというのはたいへん大きなことだと思っています。

 

足利工業大学への投票理由としては、「留学生への対応やサポート体制がしっかりしている」というものが多かったのですが、留学生相談室で日々留学生と関わっていらっしゃる佐々木室長はどんな点が受賞につながったとお考えですか。

——足利工業大学は、規模は小さいですが、留学生数は全体の約1割で12か国130名が在籍しています。

そして、一般的に留学生は日本国内に親戚や知人がいて、支援や相談が受けられるなどといった、いわゆるソーシャルサポートがほとんどないのが実情です。

それに代わって、留学生支援を提供する部署として、3年前に留学生相談室を開設しました。お金のかからない人的努力は積極的にやって行こうということで、学業、生活、入管行政、市役所行政等の相談で留学生が来室したら、全てその日のうちに解決するよう心掛けています。現在スタッフは3名でけっこう忙しいですが、問題が解決した時の留学生の笑顔を見ると、やりがいがスタッフにも生まれ、サービスを受ける側も提供する側も満足度が上がります。たった3人という、組織としてはいろいろなことをやりやすい規模なので、それができるんです。やはり、学生の満足度、職員の満足度、共に上げていくといい効果が出ます。学生が笑顔になり、職員も笑顔になり、それが少しずつ周辺に伝わっていくとこういった評価が得られるのかなと思いました。

 

送り出す側の日本語学校の一教師からすると、留学生が大学進学した後、ちゃんと学校生活が送れているのかというのはすごく心配になります。

——やはり、留学生には掲示板などの情報だけでは伝わらないことも多いので、わからなければ、教室まで一緒に行って案内したり、どんな些細なことでも対応しています。留学生がかけられる専用の公用携帯を持って、どこにいても24時間、問題が起きたらすぐに支援する体制を取っています。

実はこれらのことは、日本語学校の留学生への取り組みが参考になったんです。私の知る限り、多くの日本語学校の先生方が入国時から卒業まで、日本語指導、生活指導等わが子のように親身になって留学生をケアしていることです。

 このことを大学は意外と知らないのが実態です。日本語学校の先生方がしていらっしゃることと同じサポート体制が大学入学後も継続してとれるようにということなんです。そういう意味では今後もより一層、日本語学校と大学との情報交換や連携が必要だと思います

 

国籍もかなり幅広いんですね。

——ええ、本学の特徴として、自然エネルギー・再生可能エネルギーの研究にも力を入れています。そのため、中東やアフリカなどからも留学生が来ています。産油国にとっても、発展途上国にとっても、これからの時代に必要不可欠な技術ですからね。

 

受賞後、どんな影響がありましたか。

——まず、在学している留学生が受賞を誇りに思ってくれています。そして教員も留学生指導に関心を持つようになり、大変いい効果が現れています。私たちも、大学内のイベントがあるたびに、「勧めたい進学先」として賞をいただいたことを学生達に伝えていますので。足利工業大学は理系で男子学生が多いので、学生達はこれから女子学生が増えるかもしれないと喜んでいました(笑)。

また、日本語学校からの知名度も上がりましたね。「私、昨年研究大会の授賞式に出席していました」と言うんです。昨年度の受賞を知っている日本語学校が多いので、いろいろと交流しやすくなったと思います。日本語学校の先生方からは、「ひとくくりに勧めたい進学先と言われても学生によって勧めるべき進学先は違う」、というご意見もあるようですが、留学アワードを通じて、何となくあの学校はいいらしい、ということが広まってくれたらうれしいですね。

 

最後に、今後の抱負、足利工業大学のPRなどがあればお聞かせください。

——足利工業大学は技術者養成教育を約50年やって来たので、2000社以上の国内企業とのパイプを持っているんです。特にアジアに進出する企業とのつながりがあるので、そこで活躍できる技術者ということで、日本国内の就職にも有利になります。日本・アジアで活躍する技術者になりたいという留学生には、是非勧めていただきたいと思います。

 

大学の文系部門賞を受賞した明治大学の国際教育センター長の横田先生を、この春開校したばかりの中野の新キャンパスに訪ねました。日本語学校との連携モデルを早くから提唱、実現された日本留学受入れの第一人者ならではの、中身の濃いお話しをうかがうことができました。

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