対談インタビュー

大学文科系部門受賞校
明治大学国際教育センター長

横田雅弘教授 

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   カイ日本語スクール代表

   山本 弘子

大学の文系部門賞を受賞した明治大学の国際教育センター長の横田先生を、この春開校したばかりの中野の新キャンパスに訪ねました。日本語学校との連携モデルを早くから提唱、実現された日本留学受入れの第一人者ならではの、中身の濃いお話しをうかがうことができました。

山本(受賞は)1年前になりますが、改めまして、受賞おめでとうございます。日本語学校が貴学を選んだ理由としては、留学生サポートが充実している、勉強する内容について学生たちの評価が高い、先進的な取り組みをしている、などが挙げられています。

横田そうですね。先進性については、以前はむしろ伝統的なイメージがあったかと思いますが、国際日本学部開設やG30認定などで民間企業や日本語学校との連携事業を推進する等、ダイナミックに国際化を進めていることや、新しいキャンパスを次々と建てたことで、すっかりイメージが変わりましたね。

山本:こちらには初めて来ましたが、本当に新しくてきれいですね。周辺の雰囲気もとてもおしゃれで、中野というのが信じられないほど。

横田:お茶の水キャンバスのグローバルフロントは、ここよりきれいですよ。

山本:さすが、マーチ(MARCH)の筆頭だけあって、勢いが違いますね。

横田:おかげさまでここ数年受験生は日本で一番多いです。

 

日本語学校を経由して大学にスムーズに入る道作りを

山本:ところで、留学生の募集状況はいかがでしょうか。

横田:日本語学校と同じように横ばい状態です。

山本:日本語学校は中国韓国の減少もありベトナムの留学生が急増していますが、大学の方はどうですか。

横田:ベトナム人学生の波は、まだ大学まで届いていません。

山本:こちらはもう中国をしのぐ勢いですが。

よ:問題は、その波が大学進学につながるかどうかですね。

山本:つながった場合、今後、大学が多くの非漢字圏の学生にどう対応できるかが課題となりますね。中国、韓国の学生数低迷傾向が解消されない限り、国籍の多様化は当然起こりますから。

横田:そういう意味でも、大学としては日本語学校と提携したほうがいいと思います。

山本:そうですね。日本語の問題は入学前にある程度クリアした方が大学としても助かるはずですから。もともと留学生の大学入学者の6割は日本語学校からですし、連携は得策だと思います。

横田:確かに、日本語学校に鍛えてもらってから大学へ来てもらったほうがいいです。

山本:ありがとうございます(笑)。私たち日本語学校はそう思っているんですが。

横田:それだったら、日本語学校を経由して大学にスムーズに入る道を作ればいいんですよ。たとえば、大学のリクルーターと日本語学校のリクルーターが一緒に募集へ行き、いい学生を何人か選び、その学生をまず日本語学校で鍛え、それから大学に入れるという入試協力という形があってもいいと思います。

山本:この間タイのフェアに行った時、パスウェイプログラム[1]はないのかと、そればかり聞かれましたが、そういうわかりやすい発信を日本もやっていかないと、訴求力が弱いですね。

横田:日本の留学生別科構想はパスウェイに近かったはずですが、別科に入っても結局その大学に進まないケースも多いから、パスウェイとしての機能は弱いと言わざるを得ません。

 

語学力と分けたリクルーティングが必要

横田:リクルーティングの視点から見れば、語学力と学力を混在させない方がいい、という事も言えます。今は、学生の質を語学(日本語)で選別しているのに近い状況です。それを、たとえば学力で選んで日本に受入れてからコトバを教えれば、本当にいい学生が来られるようになる。もちろん、語学ができる人が総合科目などもできる例が多いのも分かりますが、でも日本語しかやってないとなると、大学、特に大学院の場合は困ってしまいます。他のこともできるかなあ、と心配です。

山本:PISA[2]みたいなテストってうまく利用できないものですかね。そういうグローバルな尺度があるといいですよね。

横田:国が海外の学校のレベルを判定するようなことは難しいでしょうが、本当はどこかの機関が、そういうことをやればいいですけどね。たとえば高校での情報を徹底的に集め、この高校でこの成績ならここへ入れるなどの情報を集約するとか。

韓国の例ですが、高校3年になると、学校の勉強の替わりに日本留学試験の勉強をしている学生たちがいる。当然、学校の成績は落ちてしまいます。合格者の高校の最終年の成績がひどい理由を調べてみてそういう事情があることを知りました。いろいろな観点から、海外の高校の情報などがあるとありがたいですね。

 

日本語学校のマーケティング戦略は?

横田:日本語学校のマーケティングは進化していますか。

山本:欧米のように留学文化に歴史があり成熟した市場は質の競争という方向に洗練化しています。しかし、募集のしやすさや距離的条件から、留学について未成熟ないわゆる開発途上国の市場を選ぶ学校もあります。韓国中国市場が萎んだ分、日本語学校のマーケティングも多様化の道を探るしかない状況です。現に、欧米のフェアや媒体広告などに、かつて中韓主体に集めていた日本語学校の名前を見かけるようになりました。

横田:ただ語学だけを学んで帰っていく学生と、日本語学校を経由して大学などに進学する学生がいますが、この2つの層をどういうふうに日本語学校が経営戦略として見るのか、注目しています。また、海外で日本語を勉強してから来る人、そうでない人という要素もあり、それらをどういう組み合わせでコースを作っていくのか、いろいろな戦略があると思います。

山本:自分たちの特色を自覚して戦略化しなければ、生き残れませんね。

 

この賞は単なる数値でなく、肉付けされたアナログな感覚

山本:賞に話しを戻しますが、この賞についてどのような感想・印象をお持ちでしょうか。また、活用していただいているんでしょうか。

横田:日本語学校を経由している留学生たちは、そこで選ばれた大学・専門学校に価値を置くんじゃないかと思います。というのは、日本語学校の先生がまじめに一生懸命やっているのを学生たちも知っていて、その先生たちから勧められる、というのは、大学選びの意思決定の要因として結構ありますよね。だから、大学にとっては大切な賞だと思います。私は昨年もらったものをパワーポイントに取り込んで宣伝に使っています。

山本:どんどん使っていただきたいと思います。

横田:いろいろなランキングが、出てきた数値で見られる傾向がありますが、こちらの賞は単なる数値というより、もっと肉付けされた、よりアナログな感覚で選んでもらっている感じがします

山本:そう言っていただけると大変嬉しいです。教職員たちが一校一校、ちゃんと理由を書いて選んでいますから。現場からは悲鳴が上がるほどですが、やはり選ばれる学校の身になれば、そこは必要かと。理由と言えば、最後にもう一つ。貴学でのどのような取り組みが賞に結びついたと思われますか。

横田:やはり就職支援だと思います。キャンパスがきれいなことも理由の一つでしょうか。また、国際日本学部という、日本語や日本文化に興味のある学生に魅力的な学部があり、留学生も多いです。いろいろ新しいことをやっているという活性感が伝わったということもあると思います

山本:そうですね。今や就職支援は重要な条件ですね。私たちも一生懸命育てた学生が、進学後に就職できたと聞くと本当にほっとします。特にやはり文系の学生が多い点からしても、就職は重要課題です。ぜひ今後もサポートの充実をよろしくお願い致します。本日はありがとうございました。

 

 

 

[1] Pathway(近道) Program:大学1年は英語学校と提携し、英語教育と一般教養などのサポートプログラムを受講して、修了した場合は2年次に進む事ができる英語圏で多く見られるシステム。

 

[2] Programme for International Student Assessment:OECDによる国際的な学力調査。読解力や数学・科学的リテラシーなどが計られる。2009年には65の国と地域が調査に参加した

 

大学の文系部門賞を受賞した明治大学の国際教育センター長の横田先生を、この春開校したばかりの中野の新キャンパスに訪ねました。日本語学校との連携モデルを早くから提唱、実現された日本留学受入れの第一人者ならではの、中身の濃いお話しをうかがうことができました。

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