対談インタビュー

専門学校部門受賞校
日本電子専門学校常務理事

寺脇 保氏

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   カイ日本語スクール代表

   山本 弘子

今日は日本電子専門学校の寺脇保理事にお話を伺いました。本館の広い広い応接室で迎えてくださった寺脇理事は、冗談で私たちを笑わせながらも、留学生受入れに関する話しには自ずと熱がこもり、長年の努力と工夫の結果が受賞に繋がったのだと、改めて、そして大いに納得しました。

山本:受賞についてですが、昨年は初めての試みで、しかも授賞式直前のお知らせで失礼いたしました。びっくりなさったんじゃないでしょうか。

寺脇:そうですね。いくつかの日本語学校さんとは交流を持たせていただいていたのですが、この賞はもちろん、このようなアンケート調査を実施したことすら全く教えてもらえませんでしたので非常に驚きました。でも、そのほうがかえって受賞したときの喜びが大きかったです(笑)。

 

本格的な留学生受け入れは2001年から

山本:ところで、日本電子さんは留学生受け入れはいつ頃から始められたのですか。

寺脇:積極的に始めたのは2001年からになります。それ以前も、80名ぐらいは常時おり、国際部という、在籍する留学生のケアをする部署がすでにありました。ですが、少子化の流れを見据え、留学生の受入れを本格的に考え、募集に力を入れ始めたのが2001年になります。その当時、専門学校で留学生募集に本腰を入れているところはまだあまりありませんでしたね。

山本:具体的にはどんな募集をされたのですか。

寺脇:特に難しいことをしたわけではありません。基本的には日本人に対するのと同じです。高校を訪問していたのと同じように日本語学校を訪問させていただき、お預かりしている学生の状況を報告に行くことから始めました。2002年からすぐにいい影響が出ましたね。口コミの力もありました。また、校内の協力も得られたのが良かったと思います。募集の部署だけでなく、教員が理解を示してくれて、学校一丸となって留学生の受け入れに取り組むことができたのが、成功の大きな要因ですね。

山本:御校の長年の留学生に対するさまざまな取り組みが評価され、このアワードの結果に結びついたということですね。そのほかに、大変就職率が高いことも日本語学校からの大きな支持につながっているようですが。

 

就職率の高さの秘密

寺脇:就職率の点で言えば、ありがたいことに入ってくる学生の質が高いということが最大の要因だと思っています。昨年は、入学した留学生の中で母国の大学を卒業している学生が50パーセントを超えていました。

留学生にとっての大学入学は、外国の大学を卒業したという、いわゆるステイタスや資格のようなものを得るためなのに対し、専門学校に求められるのは<日本での就職>です。留学生の求人もいち早く確保するために、就職部の職員が企業を回って求人をいただく際に留学生の採用があるかどうかを確認したり、本校の在校生のためだけの会社説明会を行なったりしています。これは、日本人の学生も留学生も同じ会場で実施され、留学生に特別な配慮はしていません。日本の企業で働く上では、むしろ同等の扱いをしないと内定をもらえませんし、入社後も同様です。

山本:説明会には何社ぐらい参加するんですか。

寺脇:600社ほどです。どの企業も、採用に意欲的だからブースを出して下さるので、いいマッチングができています。他にも、これまで留学生の就職実績のない会社にスタッフが電話するなどして、就職先を開拓したりしてきました。この、就職のサポートという点が、日本語学校の先生方に選ばれた大きな理由なんじゃないかと思います。学校の内容が悪いとやはり評価されませんよね。

 

内容の良さは口コミで伝わる

山本:確かに。御校が選ばれた理由の中に、内容に関して「コースがいい」「カリキュラムがいい」「先生がいい、熱心」「内容が充実している」などのコメントが多く寄せられました。ここが評価されてこその教育機関だとは思いますが、日本語学校の教職員にはシステムは伝わりやすい一方、内容的な事はなかなか見えて来ない。だから教育内容の良し悪しは、進学した学生たちを通して知っていくことになりますね。

寺脇:日本語学校というところは留学生の日本への入り口であり母校であるので、卒業後もよく里帰りみたいに顔を出しているんですね。そうすると、留学生が、今の学校についていろいろ日本語学校の先生たちに話す。それが次につながるわけです。そういうことから、うちでは日本語学校の先生方対象の説明会を毎年9月に行なっているんです。

まず、学校の説明を行ない校舎見学、4時ごろになると授業が終わった留学生が合流し、母校の先生たちと懇談会をします。これは、高校に対して行ってきたことと同じなのですが、とても重要なことだと考えています。ただ、それをしっかり行うには、校内の教員の理解が不可欠なんです。普通は教員にとって日本人の学生のほうが楽なんですが、本校ではありがたいことに教員の理解が得られ、それが今の結果につながっていると思います。

留学生を大切にするという思いを共有できたことが、いい循環につながり、受賞に結びついたのでしょう。新宿という場所柄もあると思いますが。

 

震災の影響がなかったのは受賞のおかげです

山本:受賞の反響はいかがでしょうか。

寺脇:いただいた楯は、応接室の棚に飾らせていただいております。また、入学案内書には大きく写真を掲載させていただきました。

地震の影響で、2年前に日本語学校の学生の数が減りましたから、今春の専門学校の入学留学生は減るだろうと思っていましたが、結果的にはほとんど同じ数でした。それは、この賞のおかげですよ。それは必ず書いておいてください(笑)。

山本:太字で書きます(笑)。

寺脇:日本語学校の在籍者(卒業生)が減っているにも拘らず、本校は昨年とほぼ同数の留学生を向かい入れることが出来ましたこの背景には、たくさんの日本語学校の先生方のご推薦があったからこそだと思っておりますので、この賞は本当にありがたかったです。

また、留学生を送り出される親御さんに安心していただける材料として、この賞を説明できたのは大きかったですね。

 

日本語学校と進学先の具体的な連携を

山本:連携、連携と言われながら、本当になかなか進みませんね。このアワードが高等教育機関と日本語学校との連携のよいきっかけになればと思います。

寺脇:日本語学校と、大学や専門学校から代表者を出し、それぞれ研修会などを作ったり分科会を作ったりなど定期的に情報交換や情報共有を行なうといいんじゃないでしょうか。そうやって距離を縮めていきながら、留学生の大切な進路について両者が協力して、留学生の将来を真剣に考えてあげることは非常に大事なことだと思っています。やはり、どこの国の学生にも「日本に留学して良かった」と思って欲しいですもんね。ぜひ、出来ることから始めて行きましょう。

山本:そうですね。これを機に、一歩でも二歩でも前進させたいですね。今後ますますよろしくお願いいたします。

大学の文系部門賞を受賞した明治大学の国際教育センター長の横田先生を、この春開校したばかりの中野の新キャンパスに訪ねました。日本語学校との連携モデルを早くから提唱、実現された日本留学受入れの第一人者ならではの、中身の濃いお話しをうかがうことができました。